熱帯魚にエサを与える
成功する餌の与え方4つの法則
 
はじめに
熱帯魚を飼育する際、最も重要な点とは何でしょう。飼育者の責任とは何でしょう。おそらくそれは、バランスのとれた栄養価の高い餌を与えるということではないでしょうか。魚は水槽の中で実にたくさんのものを餌として食べます。
  • 水草 (注:アクアゾーンの魚は、現在のバージョンでは水草を食べません)
  • 藻類 (注:アクアゾーンの魚は、現在のバージョンでは藻類をたべません)
  • 自分より小さい魚
  • 魚卵
  • その他水槽に入れるもの(エビなど)
魚に水草をかじらせないために、また、魚卵や稚魚を食べさせないために適切な餌を定期的に与える必要があります。
ペットショップで売られている餌の種類の多さには誰しも戸惑ってしまうでしょう。特にビギナーであればなおさらです。次に示す簡単な4つの法則を守ることで、容易に魚を成長させ、健康な状態で長生きさせることができます。
 
法則1:餌は魚に合った種類を
餌を選択する際、飼育する魚が本来、野生生活で摂取する食物にできるだけ近いものを選んでください。完全な天然餌料を常に与えることは現実的にも困難で、また特にその必要もありませんが自分の魚の食習性をよく知っておくこと、またその食習性に適合した餌を与えることが不可欠となります。(例: 草食魚には植物質食物、水草類を豊富に与える)
●餌の種類は1種類に限定しない。

いかに栄養価が高くとも、1種類の餌では魚の健康を保つのに必要な栄養物をすべてをまかなうことができません。バランスのとれた餌を多種与えることが魚の健康を保つ最良の方法です。多くの熱帯魚愛好家は人工餌料と生き餌の両方を使用しこの方法を実行しています。
注:天然餌料を与えるときは細心の注意が必要です。天然餌料は往々にして水槽内に病原体を持ち込む原因となってしまいます。
 
法則2:餌は適切な形状で
体の構造や遊泳パターンがそれぞれ異なるため、すべての魚が水槽に投入したすべての位置にある餌を得られるとは限りません。飼育者がこれに気がつかない場合、問題は急速に深刻化てしいきます。たとえば、水面で遊泳する魚などはミミズなどの餌を獲得できないことがあります。投入後、ミミズは水面から底に沈む速度が非常に速いからです。反対に、水底で泳ぐ魚はほとんどの場合フリーズドライフードを口にすることができません。フリーズドライフードは水面に浮いてしまう傾向にあるからです。このような問題を解決するために色々なタイプの餌がつくられています。
また餌の重さの問題同様、餌の大きさも大変重要でこれも注意が必要となります。た とえば、体の小さな魚は口の大きな魚用に製造された大きな餌を上手に食べることで きません。適切な大きさの餌が与えられなければたとえ水槽内に餌(大きすぎる餌) が豊富にあっても魚は餓死してしまいます。
 
法則3 餌を適量与える
「与える餌の量が不十分で魚の健康を害した。」という人はあまりいないようです。ほとんどのビギナーは「少しの違いなら大差ないだろう」と思い、餌を必要以上に与えているようです。この「気前の良さ」は禁物です。飼育者が考える以上に魚に害を及ぼしてしまいます。餌の与え過ぎは過食症を引き起こし、魚の健康状態を損ねます。また、餌を食べれば食べるほど、糞を排泄しますので、水槽の濾過システムにも大きな負担をかけることになり、水質も著しく悪化してしまいます。
 さらに、餌の与え過ぎで問題となることに餌の食べ残しによる水質悪化があります。食べ残した餌を速やかに水槽から取り除かないと水質汚染による環境破壊が生じます。これは魚にストレスを与え、病原体に対する抵抗力を大幅に低下させる原因になります。
 
<餌の与えすぎの問題点と対処法>
●より少なく、より頻繁に
1日数回、1回の分量を少量にすることが望ましいとされています。少なくとも、朝1回、夜1回の計2回に分けて餌を与えてください。
●魚が数分で食べ尽くせる量を与える
これにより、餌の食べ残しから生じる餌の腐敗、それによる水質の環境破壊を防ぎます
●食べ残した餌は速やかに取り除く
遅くとも1、2日以内に取り除いてください。餌が生き餌の場合、これは特に重要となります。生き餌はその死後直ちに水質を汚染し始めます。
 
法則4:タイミングを配慮
法則1〜3では「何を」「どのくらいの間隔で」という点で餌の与え方について触れました。この法則を守ることで問題を最小限にくい止めたり、問題を完全に取り除いて熱帯魚飼育を楽しむことができます。さらに努力を惜しまないという人は、次に法則4の「いつ」という点についても学んでください。熱帯魚飼育の世界がさらに広がります。
 
●消灯後に餌を与える
内気な魚や夜行性の魚が餌を十分に摂取できるよう、このような魚に対しては、少なくとも一日に一回の給餌は、夜、消灯後行ってください。
 
●繁殖を促進させる給餌
多くの熱帯魚の繁殖シーズンは雨期にあります。これは自然環境に順応しながら進化してきた結果と言えるでしょう。 熱帯性気候を持つ彼らの生息地では夏の激しい雨が川を氾濫させ、多数の動物や昆虫(食物)を川へと流し出します。多くの熱帯魚愛好家は自分の水槽の中にこれと類似した環境をつくり、繁殖を成功させています。栄養豊富な生き餌に普段より少し大きめものを混ぜ、普段より低温の水でより頻繁に水換えを行うことによって「繁殖シーズン」を水槽内で再現させることができます。
 
●外出時の給餌
外出などで餌を与えることができなくなるからといって、あらかじめ餌を多めに与えておくというのはよくありません。健康な魚なら、少しの間ぐらい餌を与えなくても大丈夫です。餌の与えすぎで水質を悪化させてしまうより、短期間の絶食の方がはるかに安全といえます。ただし、稚魚は毎日餌をとる必要があります。