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1993年2月Macintosh用のソフトウエアとして、AQUAZONEが発売されて今年で7年目を迎えます。その間、数度のバージョンアップやWindows版の発売を経て、累計22万本が販売されました。熱帯魚を飼育するという目的の他はゴールもなにも設定されていない、新しい感覚のソフトということで話題になりました。そして今ではパソコン用エンターテイメントソフトのスタンダードとして確立されています。そんなAQUAZONEのサウンドトラックがいよいよ東芝EMIから発売されることになりました。AQUAZONEを開発した9003inc.のメンバーだったDavid森本が、当時自分で書いた音源を元に新たに書き起こしました。AQUAZONEの音というと通常ブーンという水槽のフィルター音が思い浮かびますが、いろんなイベントが起こったときにメロディが流れます。注意してこのCDを聴いてみると、ユーザーの方ならどのイベントのメロディが使用されているか分かると思います。ゲストミュージシャンとしてチョコレートファッションの高嶋ちさ子を迎え、本アルバムは打ち込みのデジタルと生バイオリンのアナログが見事な調和を奏でています。
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Profile : David森本
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1965年4月10日、鹿児島県出身。3才の頃よりクラシックピアノを習いはじめる。
小学校時代、ラジオやTVから流れてくるヒット曲をピアノにアレンジして弾きまくる、という特技を武器に音楽の時間だけヒーローとなる。中学時代、冨田勲のシンセサイザー音楽に触れ、多大なる影響を受ける。その後、本格的に多重録音による作品制作をはじめる。18才の時から2年連続でローランドシンセサイザーコンテストに入賞、あこがれの冨田勲氏との対面を果たす。90年、マルチメディア制作会社「9003inc.」に準創立メンバーとして参加、AQUAZONEなど革新的なソフトウェア開発のサウンド部門を担当。96年、独立してサウンドプロダクション「Liebeslied」を創設。現在までより広いジャンルのサウンド制作を続けている。
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Profile : 高嶋ちさ子
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1968年8月24日、東京都出身。6歳からヴァイオリンを始め、桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学に入学。同大学卒業後、イエール大学大学院マスターコース、アーティスト・ディプロマコースに奨学生として入学。同大学院卒業後、パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)に参加。PMFのアーティスト・ディレクターをつとめるマイケル・ティルソン・トーマス率いるマイアミのオーケス
トラ、ニューワールド・シンフォニーに所属。これまでに徳永二男、江藤俊哉、ショ ーコ・アキ・アールの各氏に師事。以前からAQUAZONEのファンで、制作スタッフとも親しいことから本アルバムに参加。
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#1
: "Aqua" |
ラベルの「ボレロ」へのオマージュというこの曲は、Aquazoneでは起動したときのジングルにイントロ部分として使われています。起動するときのわずかな瞬間だけなので、まさかそのあとにこんなオーケストラが待っていようとは誰しもが思いも寄らないと思います。水の滴を想像させるイントロに続いて次第に滴が川になり、さらに大海に流れ込み、水蒸気となってまた滴に戻る様子が叙情詩的に表現されています。
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#2
: "Birth" |
この曲のテーマは誕生。Aquazoneでは魚たちが成長し、つがいをつくり、そして繁殖をします。産卵から孵化するときの感動はAquazoneをやっていた人でないと分からないかもしれません。その感動的な瞬間をやさしくスケッチしてあります。
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#3 : "a good-bye"
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AQUAZONEの中で、一番印象深く一番悲しい出来事はやはり大事に飼ってきた魚たちの死です。この曲はその「死」をテーマにしています。印象的なピアノのイントロに続き、ソロバイオリンの美しく、悲しいメロディが演奏されていきます。バックのストリングスに包まれて、高嶋ちさ子のバイオリンは聴く人をやさしい気持ちにさせてくれます。
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#4 : "Revive"
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AQUAZONEの魚たちはいつでも元気で健康に生きているとは限りません。時には水質の悪化等で、体力が衰え病気にかかることだってあります。でも愛情を持って接していれば、病気が治って元気な姿に戻ることもあります。この曲は、そんなときをテーマにしています。高嶋ちさ子のソロ・バイオリンに加え、2626の前島潔、inisのYanoch、OPeNBooK9003の大砂美保、アップルコンピュータの原田永幸が突発的に参加しています。
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