硬い氷の奥底にそれは生きていた・・・。

ボワーズから最後のメールを受け取った一ヵ月後、リーはセーヴェロバイカリスクに飛び、変化したメカフィッシュの採取にかかった。湖畔の民家の空き家を拠点に、とてつもなく広いバイカル湖を毎日探索した。

それから一ヵ月程経ったある日、リーはとうとうメカフィッシュの採取に成功した。早速それを持ち帰り、水槽に入れて観察を始めた。メカフィッシュは水槽のなかでちょっとギクシャクと、しかし魚のように動いていた。彼女はその機械的な動きから「ギガ・ジガ」と呼ぶことにした。

しばらく観察していると、ギガ・ジガが食事をしていることが分かった。バイカル湖の水を張った水槽の下層部に重油の塊が沈んでいたが、彼等はそれを時々突ついていた。


結局リーはギガ・ジガを30匹ほど捕まえることができた。そのうちの数匹をなぜか、湖に戻した。彼女はウラジオストック経由で北海道に立ち寄り、再びセーヴェロバイカリスクへ戻った。

北海道には「KYNA(カイナ)」の仲間がいた。彼はボワーズの研究所を解散したあと、摩周湖の湖畔で研究を密かに続けていた。リーは彼にサンプルを数匹渡すために日本へ行ったのだった。