第4回:優性の法則
さて、今回からいよいよ「メンデルの法則」の説明を始めます。
初めは「優性の法則」です。 ある特徴(形質と呼びます)を決定している遺伝子は、オス親とメス親から半分ずつもらった1ペアになっていると前回まででお話しました。では、実際に今その子供の表面に現れている形質はオス親からもらった遺伝子由来のものでしょうか、メス親からもらった遺伝子由来のものでしょうか?それとも両方が混ざり合ったものなのでしょうか?
実は、ある特徴に対して両親からもらった遺伝子のタイプが違う場合、どちらの遺伝的特徴が表に出てくるかは、その特徴の種類によって決まっているのです。これが「優性の法則」です。
特徴の種類によって「優性」のものと「劣性」のものがあるのです。ここで言う「優性」「劣性」とは「優れている」「劣っている」と言うことではなく、ペアになったときに「ペア相手を押さえて表に現れる」「ペア相手に押さえられて表に出てこない」と言う意味です。
トランプを例にとって見てみましょう。
あなたは今、2枚のカードを持っているとします。1枚は父親から、もう1枚は母親からもらったものです。他人からは、このうちの強い方のカードだけが見えて、弱い方のカードは見えません。この強い方のカードを「優性」といい、弱い方のカードを「劣性」という訳です。
では具体的にメンデル先生の実験ではどのようだったのでしょうか。 メンデル先生は、エンドウ豆の色に注目しました。エンドウには、豆の色が黄色のものと緑色のものがあります(こうした対比される形質を対立形質と呼びます)。その2種類のエンドウを色々交配して、どんな色の豆が出来るかを見たわけです。
その結果、エンドウでは、黄色が「優性」で緑色が「劣性」になっていることが分かりました。つまり、「黄色にしようとする遺伝子」と「緑色にしようとする遺伝子」がペアになった場合、表に現れる形質は必ず「黄色」になるのです。
これを上記のようにトランプに置き換えて考えてみると分かり易いでしょう。つまり、「黄色のカード」と「緑のカード」のペアでは、その人の特徴は「黄色」になるということです。
「黄色のカード」と「黄色のカード」のペアでは当然「黄色」になります。
「緑」になるのは、「緑のカード」と「緑のカード」が一緒になった時のみです。
少しややこしかったでしょうか? とにかく、最低限「優性の法則」とは、 「対立した形質がペアになった場合、表に現れるものとかくれてしまうものがある」
ということだけでも今回で頭にとめておいて下さい。
次回は、身近な例をあげてもう1度「優性の法則」について解説したいと思います。
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