すべての謎が解き明かされる。シリーズ最終章・・・。
リーは北極海の流氷を眺めながら考えた。ボワーズの考えではメカフィッシュはどんな悪質な環境でも生き抜く強靭な生命へ進化するはずである。だが、新種の発見場所は汚染の少ない環境へ近づいている。メカフィッシュは新種が出現する度に、機械ではなくいわゆる自然界の生物と変わりのないものになってきているようだ。外見を除いては。これは
A Lifeの試みとしてはまさに成功といえる。しかしそれは、彼女にえも言われぬ不安を与えた。人間が完全な生物を作ってしまった、そして完全な生物にとっては、誰の手によって生み出されたかなどどうでもいいことだ、といったところだろうか。メカフィッシュが「よし、人類と仲良く生活していこう」と思うかどうかは誰にもわからないのだ。
一面の白い景色を前にしたリーの頭はいろいろな話題の間を駆け回った。ボワーズのなかばヒステリックな声が彼女の耳なりのように聞こえる。このところ、ずっとそうだ。彼女にはボワーズが体内に
LT5000 を埋め込んだ新人類のようにも思えてきた。
もはやリーは自分が何をするべきかよく分からない。彼女は
KYNA のメンバーに発見したばかりの トリロイド・ヌル を送った。
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