病気について
 
■病気について
熱帯魚を飼育していると、必ずと言ってよいほど病気が発生するものです。病気が発生するためには原因があるのですから、その原因を断ち切ることが最大の予防方法といえます。病気の主な発生要因を下にまとめてみました。これらを見てもわかる通り、日常の管理を徹底すれば、病気を予防することができます。熱帯魚にみられる病気の多くは、適切な飼育環境で魚にストレスを与えなければ、発生しないものなのです。
 
<病気の発生要因>
  • 急激な水質(水温、pHなど)の変化
  • 餌の与えすぎ
  • 魚を驚かした
  • 病気の魚を持ち込んだ
  • 酸素不足
  • 水質の悪化(pH、硝酸塩濃度など)
  • 過密飼育

 
■治療する際に(隔離水槽、薬浴水槽)
病気の治療においては、熱帯魚に限らず、早期発見と早期治療が最も大切なことといえるでしょう。さいわいアクアゾーンでは、ダイアログが現れて病気にかかったことを教えてくれます。病気が発生したら間髪をおかずに治療しましょう。さて、治療する際にその水槽の中に直接薬を投与してもかまいませんが、熱帯魚の病気の多くは伝染性があるので、病気にかかった魚はすぐに隔離したほうがよいでしょう。また、効果的な短期間治療法として短時間の薬浴を数日続けることが効果的で、そのために隔離水槽と薬浴水槽の2つを用意します。この時、隔離水槽、薬浴水槽とも、事前に塩素抜きや水質を調整しておいて下さい。病気にかかっている魚はただでさえ体力が落ちているのですから、いきなり水道水の水槽に移しては逆効果です。特に隔離水槽は飼育用水槽と同じように、水草を入れ、パイロットフィッシュを使って、適切な水質に仕上げておいて下さい。反対に、薬浴水槽には薬により水草が枯れてしまうことがあるので、水草などは入れない方がいいでしょう(アクアゾーン上の水草は変化しません)。
なお、隔離水槽、薬浴水槽とも一度使ったら、病原菌が残っている可能性があるので、必ず破棄して下さい。
 
■治療薬について
アクアゾーンには、基本アイテムとして「AZグリーンS」という治療薬が用意されています。きちんと理解した上でご使用下さい。
 
●AZ グリーン S
熱帯魚がかかりやすい病気のほとんどを治療します。病魚を他の水槽にうつし、薬浴させます。
 
■病気と治療
●白点病
この病気は、大きさ0.6〜1.0mm前後の繊毛虫の1種イクチオフチリウスの寄生によって起こります。ただし、熱帯魚が元気で抵抗力が高いときには、寄生することができず発病しません。しかし、水温や水質が急激に変化したり、水質の悪化が続くと、とたんに発病します。
【症状】
病魚の外見的特徴は、皮膚の至る所に大きさ1mm以下の小白点が多数出現することです。この白点は寄生している虫体そのもので、うろこの中で活動するので、熱帯魚はひどく痒がります。そのまま放置すると、この白い点は体中に広がって、やがて熱帯魚はストレスで死に至ります。
【治療】
白点病の熱帯魚を発見したら、直ちに隔離用水槽に移します。次に、薬浴用水槽を用意して1日1回30分間、毎回容量に注意して新しく薬を投与し、薬浴させて下さい。なお、いったん白点病にかかった魚は免疫ができて、以後は白点病にかかりにくくなります。
 
●尾ぐされ病
尾ぐされ病はその名の通り、尾が腐って溶けてしまう病気です。特に、尾が長い魚に発生する傾向があります。
【原因】
滑走細菌類に属するフレキシバクター・カラムナリスの感染によっておこります。本菌はグラム陰性菌で鞭毛を持たずに屈曲および滑走運動を行います。発病の1次要因としては、ストレス、魚同士のつつき合い、何らかの外傷などが考えられます。
【症状】
原因菌は尾びれ表面またはその鰭条の内部で繁殖し始め、尾びれの先端から鰭条が擦り切れ、ついには重篤な「尾ぐされ」症状を呈するのが特徴です。患部はやがて尾びれ全体に拡大し、鰭条だけとなり、時には尾鰭が欠損するものも見られるようになります。また、中には尾鰭の他に尾柄部、背鰭、胸鰭、時には口腔や鰓にも患部を形成することがあります。上記のような病徴が見られた場合、病魚は急速に食欲が減退し、泳ぎも緩慢となり、やがて死に至ります。
【治療】
本病の治療は早期発見、早期治療が肝要で、病魚はまず隔離して下さい。この隔離は単に感染を防ぐためだけでなく、尾ぐされ病にかかった魚はうまく泳ぐことができず、元気な魚と一緒では十分に餌を食べることができなくなり、さらに、気の荒い熱帯魚などは腐った尾をつつくこともあるので、病魚を保護するという意味もあります。尾ぐされ病の場合には、隔離用水槽に直接薬を投与して下さい。薬浴の必要はありません。
 
●エピスチリス症
エピスチリス症は俗につりがね虫病と呼ばれることもあり、魚の体表、エラ、ヒレ等に多数の釣り鐘状の寄生虫エピスチリスが集落をなして寄生する疾病です。
【原因】
繊毛虫類のエピスチリス・ロンギコーポラが寄生することによっておこります。この虫体は伸縮自在で、伸びた状態では細長い円筒状(長さ約400μ、直径約75μ)で、収縮すると球状に近い形になり、その末端はやや広がった付着器となっています。この寄生体は単に着生しているだけで、直接魚から栄養分を摂取することはなく、体表や水中の細菌を捕食して生活しています。その意味では、寄生虫と言っても間借りしているにすぎず、そのもの自体は軽い病気です。しかし、本症が進行した場合、寄生部位の表が脱落し、真皮が露出、すなわち潰瘍化することがあり、この場合2次的に他の感染症を引き起こし、急速に死に至ることがあるので注意が必要です。
【症状】
一般的に寄生患部が灰白状または白雲状を呈し、初期には魚体表面各所に米粒を小さくしたような白点が生じます。これはエピスチリスの集落で、次第に拡大し粘質塊状物となります。その後、表皮が脱落・潰瘍化し、2次的に病原細菌類または他の寄生虫類がその部位に繁殖し、魚は急速に死に至ります。
【治療】
エピスチリス症の場合もまず隔離し、薬浴用水槽にて12時間浴を1日1回、数日間続けると効果があります。
 
●キロドネラ病
本病は淡水性熱帯魚に発生頻度の高い寄生虫病(原虫病)で、熱帯魚のえらの表面にキロドネラの1種が寄生・繁殖し、えらを冒して呼吸困難を引き起こし、死に至らしめる恐ろしい病気です。
【原因】
本病は原生動物、繊毛虫類に分類されるキロドネラ・ヘキサスチカがえらで多数繁殖し、宿主に致命的な害作用を及ぼす疾病です。寄生体は卵円形を呈し、体長30〜40μで繊毛によって活発に運動を行います。一般的に、この寄生体は何らかの別の原因でえらに異常が生じた場合に、その部位の細胞崩壊物やそこで繁殖している細菌類などを栄養源として生活しています。しかし、何ら異常を示さない魚のえらにも極少数観察されることがあり、したがって寄生体数が少なければ特に問題にすることはないのですが、水質や環境の悪化などが原因で異常繁殖し、宿主に強い刺激を与え、その反応として魚は粘液の異常分泌を起こすと思われます。
【症状】
外観および遊泳状況に異常が見られることは少なく、外からはほとんどわかりません。初期では摂餌不良や呼吸が速くなり、末期ではえらから粘液が出るようになり、呼吸困難で死に至ります。
【治療】
キロドネラ病も、まず隔離し、薬浴用水槽内で1日1回30分間薬浴させて下さい。キロドネラは水質や環境の悪化などが原因で異常繁殖することがあるので、日常の飼育管理には十分留意して下さい。
 
●水カビ病
水カビ病はいわゆるカビが付着する病気です。わたかぶり病と呼ばれることもあります。
【原因】
熱帯魚の水カビ病は菌類(カビ類)の中の、卵菌類、ミズカビ科に属するミズカビ属、アフアノマイセス属、またはワタカビ属の何れかによって引き起こされます。一般的に水カビ病は、すれや外部寄生虫感染などの何らかの1次的要因が存在し、その2次的な疾病として発生すると考えられています。また、感染魚の死因は体の内外に菌糸が繁殖するために体液の漏出が生じ、このために浸透圧調整が不能になるためと言われています。
【症状】
病魚は外観的に菌糸の着生・繁茂が見られるためにその診断は容易です。一般的に菌糸は各ヒレ、尾部および頭部に繁茂しやすく、病状が進行した場合にはそれらの部位は融解・欠損することがあります。軽症の段階では摂餌性は良好で、遊泳にも特に異常は認められませんが、やがて遊泳不活発、摂餌不良となって死に至ります。
【治療】
病魚を発見したらすぐに治療を施す必要があります。治療が遅れるとたとえ治癒しても患部の融解部がもと通りに再生すのにはかなりの時間を要します。水カビ病の場合にも、とりあえず隔離し、薬浴水槽にて1日1回30分間薬浴させて下さい。