水質について
 
■水温と水質
 魚にとって、水温や水質は棲息するための環境なので、充分な配慮が必要です。私達からみたら少しの違いでも、水槽という閉鎖された環境の中の小さな魚たちにとっては大きな違いであり、また寿命の短い魚達にとって人間の一日は非常に長い時間である、ということを忘れてはいけません。
 
●水温
 水温については、それぞれの魚に適した温度が望ましいのですが、実際には急激な温度の変化にさえ注意すれば、水温の多少の上下には適応できるものです。魚の情報をみて適した水温にセットしてください。
 
●水質
 水質情報を見てそれぞれの値が適正であるかどうかをチェックしてください。水質の適正値は魚によってちがうので、魚種情報などを参考にしてpHや硬度を調節してください。バランスのとれた水槽では水質が急激に悪化することはありませんが、そのバランスはちょっとしたことで崩れてしまいます。また、水槽という閉鎖された空間でパーフェクトなバランスを維持することはほぼ不可能であり、したがって定期的な水質のチェックと水換えが必要となります。
 
■水質のチェック
●pH値(ペーハー値)
 pHとは簡単に言えば、酸性、中性、アルカリ性を表す単位のことで、7を中性とし、それより数値が大きくなるほどアルカリ性が強く、小さくなるほど酸性が強くなります。魚は、魚によって最適のpH濃度がありますが、弱酸性(pH6.6〜6.8)であればほとんどの魚が適応することができます。
 水槽内の水は魚の排泄物や残りの餌の影響で徐々にpH値は下がって(酸性化)きます。pH6を下回ると危険な状態です。換水をして一定のpHを保つよう心がけて下さい。この換水の際、特に注意しなければならないのは、pHに限らず水質の急激な変化によるショックです。魚は、徐々に変化していくぶんにはある程度の水質変化に適応することができますが、急激な変化には非常に弱いので、定期的に、少しずつ(1/3ぐらい)換水するようにして下さい。
 また、pHはアンモニアや二酸化炭素などの成分と密接に関連しています。pHに異常が見られるときにはアンモニア、二酸化炭素を中心に水質全般を見直して下さい。
 
●GH値(総硬度)
 水の硬さを表します。水中に含まれる塩類(カルシウム塩、マグネシウム塩など)の量により、数値が低いほど硬度が低い(10以下を軟水という)ことを表し、数値が高くなると硬水を表します。(水の硬度にはこの総硬度のほかに炭酸硬度というものもあります。)
 水中で生活する魚達にとって、総硬度は魚の表皮、えら、卵などの浸透圧などの活動に大きく影響し、硬度が合わないといろいろな障害が発生します。一般的な魚は3〜10度の軟水で十分飼育可能ですが、種類によっては硬水を好むものもいるので魚種情報などで最適な硬度をチェックして下さい。
 水中のGHが高いということは、カルシウム塩、マグネシウム塩が過多になっているということです。基本的にGHを下げるには、水換えをするより他にありません。水換えの際、軟水をつくるには、AZ Water Conditioner を水質に注意しながら水10リットルに対し約5〜10ミリリットル混入し、溶存カルシウムやマグネシウムの量を減らすことにより軟水化することができます。ただし、本剤を使用すると、アンモニアと硝酸がやや増える可能性があるので注意して下さい。GHを高くするには、「GHバランスプラス」を水10リットルに対し約2ミリリットル混入することにより、強制的に硬水化(GHを高く)することができます。GHバランスプラスは、硫酸カルシウムと硫酸マグネシウムの混合液で、水中のカルシウム、マグネシウムの含有量を増やし、GHを高くします。
 
●酸素(O2)
酸素は生物が生きていく上で必要不可欠なものです。水槽内の酸素は、主に次の2つによって供給されます。
  • 水草の光合成による放出
  • エアポンプによる供給
また、酸素は主に次の3つによって消費されます。
  • 魚の呼吸
  • 水草の呼吸
  • バクテリアの呼吸
したがって、酸素が不足している場合の対策として
  • 水草を増やす
  • ライトをつける
  • 魚の数を減らす
  • 水換えをする
  • フィルターを掃除する
などがあります。酸素は多い分にはあまり悪い影響はなく、6mg/リットル以上あれば特に問題はありません。
 
●二酸化炭素(CO2)
水槽内の二酸化炭素は次の3つによって増加します。
  • 魚の呼吸による放出
  • 水草の呼吸による放出
  • バクテリアの呼吸による放出
また、二酸化炭素は水草の光合成によって消費、減少します。したがって、二酸化炭素の増減は酸素の増減と逆になっているわけで、二酸化炭素過多の場合の対策は酸素不足の場合と同様になります。二酸化炭素濃度の適正値として、20mg/リットル以下ならば特に問題ありません。5mg/リットル以下になると水草に悪影響がでますが、現在のアクアゾーンでは水草は枯れたり、育ったりしないので、それ以下でもかまいません。
 
●アンモニア(NH3)
アンモニアは魚にとって非常に有害な物質で、魚の排泄物や餌の食べ残し、魚の死骸などが分解されて発生します。しかし、アンモニアはフィルターのバクテリアによる生物学的濾過によって、より害の少ない硝酸(HNO3)へと変換されます。したがって、アンモニアの濃度が上がる場合には、
  • フィルターの汚染度
(有益なバクテリアを残しておくために、完全に清掃するのではなく 汚染度30〜50%程度に清掃しましょう。)
  • 餌の与えすぎ
  • 魚の死骸が残っていないか
などをチェックして下さい。
アンモニアの濃度は低ければ低いほどよく、魚の種類によりますがおおむね2mg/リットル以上になると、魚にとって危険な状態になります。危険なレベルに達しているときは、まず水換えを行って下さい。しかし、そのままではいずれまた濃度は高くなると考えられるので、上記のような原因を改善して下さい。
 
●硝酸(HNO3)・硝酸塩(NO3−)
バクテリアの生物学的濾過によって有害なアンモニアは、より害の少ない硝酸(水槽内では硝酸塩となり蓄積する)に変換されます。硝酸は水草の養分となり、さほど有害ではありませんが、魚にとって全くの無害と言うわけではなく、極端に多くなれば有害になり、やはり少なければ少ない程良いでしょう。硝酸の濃度が高くなる理由としては、
  • 硝酸の元になるアンモニアが多い
  • 硝酸を吸収してくれる水草が少ない
などが考えられます。しかし、水草が吸収する硝酸の量はわずかなので水草を多くしても最終生成物である硝酸はいずれ濃度が高くなってきます。その際は水換えを行って下さい。
 
●塩素(Cl)
水道水は塩素で消毒されています。この塩素は、魚類のえらの組織を冒し呼吸障害を引き起こし、ついには死亡させてしまうことさえあります。したがって、水換えの時など新しい水を使用するときには、必ず塩素を取り除かなければなりません。塩素中和剤(AZ Chlorine Cut)を水10リットルに対し約2〜10ミリリットル混入し、塩素を中和して下さい。この際、入れすぎるとかえって害になるので、注意しましょう。
 
●カルシウム(Ca)・マグネシウム(Mg)
この2つのミネラルは、水のGH値(総硬度)に影響し、濃度が高くなればGH値も高く(硬水)なります。基本的には水換えにより調節します。詳しくは、GH値のところを参照して下さい。
 
●蛋白質(Protein)・炭水化物(Carbohydrate)・脂肪(Fat)
いわゆる有機物です。餌の残りや魚の排泄物、死骸などから生じてきます。それ自体は特に悪影響を与えませんが、放っておくと、分解されて有害なアンモニアになります。アンモニア→硝酸の生物学的濾過による硝化作用がうまくいっているときには、多少の有機物は問題になりませんが、早めに水換えをしておいた方がいいでしょう。
 
● ビタミン(Vitamin)
ビタミンは、補酵素とも呼ばれ、動物が生命活動をしていく上で欠かすことのできない物質です。ビタミンは餌の中に配合されているので、餌をやるたびに増加していきます。多い分には問題はありません。